ことばのおもしろさ研究所

語学好きな母ちゃんが、子どもの言葉の成長と外国語学習の奥深さ、心に響いた本なんかを記録しているブログ。

ひとまず読書のメモを

 人の心に向き合ってきたコトバ

 臨床心理学、物語と神話、子どもと教育、心と夢、そういうテーマが好きな人は河合先生の言葉にググッと惹きこまれたことがある、はず・・・!!もしまだ無ければ、こういう短文エッセイ集のようなものから出会うのはどうだろう。

 

心理学や精神療法について、仏教や西洋哲学について語っているものも面白いんだけど、河合隼雄というひとりのニンゲンが、たくさんのニンゲンとその物語に触れあってきて見た世界について綴っている本。

 

一遍、一遍が短くて、隙間時間や通勤時間に読んでほっこり(もしくはどっきり)してもヨシ◎

 

「心」とか「精神」関連の本って、スピリチュアルや自己啓発系の思想本もそうだけど、「これが善きことなり」って説教臭いのがイヤなのよね。フランクなやつは親しみやすさを強調したいのか軽すぎてチャラいのも、また嫌(笑)

書いてるのはどれもだいたいおんなじことばっかりだし。

 

河合隼雄せんせのこの本は、全然そんなことないよ。情報系ハウツーでも理想論でもなく、「私自身のコトバ」。構えなくても読めるし、かといって軽薄でもない。

 

人間の心を研究するときに、人間というものはとか、人間の心はとか一般化して考える方法もあるだろうが、私は、お会いする人の人生、その人の心を、一回限りの他とは比較できないものとして受け止めようとして

 

こういう姿勢が、現れてるんだろうなぁと思う。

なんせ、大きいテーマで語ろうとすると抽象的(一般化)にしてしまうもの。「わかりやすい」のかもしれないけど、当たり前のことを得意げに自分の成功談のように語られがち。

 

誠実で物腰柔らかな、すてきな文章でした♡

 

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※一般化した視点を、個人を判断する評価基準にすること=平均思考

 

 ふしぎの正体を紐解く

 民俗学の分野になるかな!妖怪、もののけ、神話・・・人は何を見て、何を感じて、どういう意図で「物語」を生み出したのか?そういう視点で「不思議な(あの世の)世界観」見るのが好きなのです、私は。ウソかマコトか、そういう存在論は抜きにしてね。

 

「モノ」という語は他に、「存在しないのにあるように思われるもの」や「目には見えないけれど感応されるもの」という真逆のものをも

 kindleハイライト、読み放題本も返却後オンラインで参照できるのありがたいんだけど・・・なんで文章ぶつぎりになるの??またダウンロードしなおすのも手間だし、このまま使うけど。。。

 

もののけ」の「もの」のことね。

なんか分からんけど、何か気配を感じる・・・そういう不気味で、おそろしくて、つかみどころのない存在。大きなものは神に、零落して敬われることも畏れられることもなくなったものは妖怪へ。。。

 

今は妖怪もいなくなったんだけどね。地方には「もののけ」はまだ感じられるんだろうか。

 

日本の神様の多くは、宗教的存在というよりも、今、その土地に暮らしている人びとの精神的な御先祖様といったニュアンスが濃く、神話もその土地から受ける恩恵を象徴した物語が

 

おろち、龍とヘビの話おもしろかった!!本が短くて寂しいくらい。もっともっとこういうネタで展開したハナシを読んでみたい。フィールドワークレポみたいな。

 

神話を頭から信じ込むわけでなく、また内容を単純に合理的事物に置き換えるのみならず、さらには物語という形式で伝承するためにあえてファンタジックに脚色されたことをさえ丸ごと受け入れたうえで、虚実こもごも「神話とはそういうものだ」と理解

「神話の里」の人々の、神話に対する「民度の高さ」に感心していた著者。私も行ってみたい!!生で物語の舞台を見てみたい!!それこそ、聖地巡礼に向かうニンゲンのサガだな。(笑)

 

 SFドキュメンタリー

隕石で壊滅的被害を受けたアメリカの、 地球外脱出計画に携わるロケット開発チームの「プロフェッショナル仕事の流儀」・・・!!設定はSFになるのかな?

 

打ち上げ直前の緊張感とか、読みながら一緒に心臓バクバクしてたよ(笑)

隕石衝突という悲惨な災害、女性初の宇宙飛行士を目指す主人公の憧れと葛藤、文化的事情が絡む、困難や腹立たしさ!!まるでノンフィクションのドキュメンタリー。

 

数学や科学が好きな人も楽しめそうな一冊。

 

自分のパフォーマンスを最大にする方法

 思想家、内田樹せんせの本!

 「邪悪なもの」ってのは、霊的であれ状況であれ、

  • これまでの判断や常識では取り扱いがひじょーに困難な問題
  • 放っておくとどんどん悪化するか、大変なことになる

正解のない問い、の特に取り扱いがムズカシイ部類のもの(それなのに人生ではたびたび出会ってしまう)を「邪悪なもの」として、それにどう対処していくのか?どう心構えしておくべきか?ってハナシ。

 

私は理性もシステムも十分には信じてはいません。私が知りたいのはどうふるまうべきかです。より厳密に言えば、神も理性も信じないでなお、どのようにふるまい得るかを知りたいの

 

合理的であることで陥るワナを頭に入れつつ、知的パフォーマンス、そして生命力を最大限活かす方法はなにか、ってハナシ。

 

「勝ったものが獲得し、負けたものが失う」ことが「フェアネス」だと思っているのだろう。  しかし、それはあまりにも幼く、視野狭窄

 資本主義、能力主義に対する手厳しい批判でもある。

努力と成果は相関すべきである」というこの「合理的な」考え方がモラルハザードの根本原因

 

そういえば昨日の岡田斗司夫せんせのYoutubeでは「能力主義の問題点」をピックアップしてたな!!

 


www.youtube.com

 

年齢や地位にかかわらず、「システム」に対して「被害者・受苦者」のポジションを無意識に先取するものを「子ども」

人種や文化、性別を理由にしてた方が「言い訳がしやすかったのに・・・」という不幸もあぶりだされる能力主義。それは「子ども」にとってひじょーに生きづらい。

 

そんでもって、能力主義的な「常識(システム)」が「邪悪なもの」にもなりうる。

 

そのなかで提案される「鎮め方」がどれもオトナでステキなの。内田樹せんせの「贈り物」社会論もつながってくるわけで。

 

自分が所有したいのだけれど所有できていないもの」のリストを作るより、「自分がすでに豊かに所有しているので、他者に分ち与えることのできるもの」のリストを作る方が心身の健康にはずっと

 

これこれ。

 

贈与経済というのは、要するに自分のところに来たものは退蔵しないで、次に「パス」するということです。それだけ。
「自分のところに来たもの」というのは貨幣でもいいし、商品でもいいし、情報や知識や技術でもいい。とにかく自分のところで止めないで、次に回す。

「贈与経済」論(再録) - 内田樹の研究室

 

kotokotoba.hateblo.jp

 

 

「邪悪なもの」と「神聖なもの」を表裏一体のもの、同一視する古代の叡智というか、アイディアについてのハナシも面白かった。 いろんなテーマでたっくさんオモシロイネタが散りばめられてる一冊でした。

 

 

成功は自分ひとりで成し遂げたものじゃない、自分がいま手元に持っているものは、自分の専有物じゃなくて、一時的に「託されたもの」だと考えるべき

 

贈与を通じた成長物語っていうのは、関わった人全員と共有できる自分の成長

 

 時代に塗りこめられない生き方

内田樹せんせは「分からないもの」への対処方法こそが知的パフォーマンスの活かしどころなんだってことをよく書いてるんだけど、この本でもそのテーマが多く登場してました。

 

 

人間は「分からないもの」に触れることで、立ち止まることができるし、考える「余地」が生まれ

 

自分がまだ体験していない、今よりも優れた状況を思い浮かべるということは、根本的に不可能

 

言葉ってやつはどうしても二元的な手段であるから、「分からない」部分にこそ情報量がぎっしりつまってるんだよ、ってことも。これは武術家である甲野せんせが、言葉で身体のことを説明する限界について言ってたことなんだけど。

 

人間は単純な論理で説明できるような時間・空間の中で生きているわけでは

 

二つの関係しか取り扱えないような言葉では、どうしても象徴的にしか表せないですよね。本当はそれだけではとうてい言い表せない圧倒的な情報量が処理されているわけ

 

三次元の運動を二次元で理解しようとするのは限界が

 いわんや高次元をや(笑)

 

人間は「分からないもの」に触れることで、立ち止まることができるし、考える「余地」が生まれ 

 

これはちょっと違うテーマでのコトバだけど、面白かったからメモ。

アイデンティティを「持つ」ことが重要なのではなくて、アイデンティティというのは勝手に自分にくっついてきてしまうもので、それをしっかりと「意識」することが重要なんじゃないかと思うん

 

 自分の中の「邪悪なもの」を陽転する

結局は精神論の本の紹介かい!!と言われそうだけど、そんなチンケなもんじゃねーぞ!!私は、知的でよく喋るおじさんが好きなんだとひしひしと思う今日この頃。(笑)

 

あ、でも田坂せんせはお喋りというより、静かに淡々と語る感じ。

 

「問いを立てるチカラ」こそが知性、って視点に最初に出会ったのは田坂せんせの本がきっかけだったのかもしれない。

 

kotokotoba.hateblo.jp

 

そんなインテリ系物理工学博士が、「運気」だなんてちょっとオカルト風味のテーマで本出してるのか!!とびっくりした。そんでもって読んでまたびっくりした。

 

引き寄せ!とかお金持ちの習慣!とかそういうのん個人的に目を細めて一歩退いて眺めてしまうタイプなんですが、(いや、オカルトネタは大好きですよ、大好物ですとも)田坂せんせはコトバが丁寧で、表現が知的で、整理されてて、「仮説は仮説」としたうえで全く押しつけがましくも自慢たらしくも浮ついてもいない。

 

 ステキだったから、他のエッセイ本も追加で読んだくらいに。

 

ガイアの思想

ガイアの思想

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やっぱり「ことば」に帰ってくる

人と動物の「言語」のいちばんの違いは、動物の言葉は天敵の接近や食料の在り処などの物理的な対象物を指し示し、人間はそれに加えて恋愛や尊敬、感動などの抽象的、心的、内的な対象を指し示すことができるという点です。つまり動物の言葉は、生存するために存在し、人間の言葉は良く生きるために存在しているということ

 

 やっぱり私は、コトバに魅せられてるんだなぁ。

  

 

 

そんな感じで、kindle生活をエンジョイしてます!

 今回紹介した本はほぼほぼ、アンリミテッドの読み放題本♡♡