『〈読む〉という冒険 イギリス児童文学の森へ (岩波ジュニア新書 947)』のマザーグースの章と、長田弘さんのエッセイ『私の好きな孤独 (潮文庫)』の「ノンセンスのおくりもの」を併せて読んで・・・
昨日は『冒険』の他の章を、読み終えました👏
章の順番通りに読んでも良かったんだけど、気になるタイトルから順に読んでみたよ。
全体を通して、「こんな読み方もできるんじゃない?」「いつもと違う視点で物語を眺めてみたら?」という「読む冒険」を提案する内容。
それは「筆者の意図は」とか「これはどんなメッセージが書かれているのか」ではなく!!
正解のない、決められたひとつの道筋があるわけじゃない、つまり冒険的な読み方。
物語のジャングルをかき分けていくかんじ。
そのジャングルを、上空から地理や植生を眺めてみたり、地中の根っこや葉の模様を丁寧に観察してみたり。
誰が、何が正解かっていう「考察」じゃなくてね。
物語そのものを楽しみ、物語の背景(その物語を生み出した物語)を楽しみ、更にその物語を読む人の中に生まれる物語を楽しもう、ってこと!
注目ポイントは、筆者と読者をとりまく時代背景はもちろん、言葉の使われ方。登場人物や出来事の描写、意図されているものもされていないものも、そこから「世界の切り取り方」ってやつが見えてくる。
時代や個人の価値観、信念・・・作者は何に影響を受けて、物語に何が映し出されていて、そして読者にどんな影響を与えるものだろうか。
解釈の押し付けや決めつけじゃなく、逆に「思い込みを外す」ってのが楽しむぽいんと。
私たちの「読み方」ってのは、案外「こう読むのが普通」「こう読まなければ」って思い込みが強いから。
「言葉の感度」をあげて物語を丁寧に読んでみる。
その「気づき」は、私たちの見ている世界をより大きく、細やかに、多層的に捉える視点をくれるかもしれない。
『クマのプーさん』と戦争体験、『不思議の国のアリス』と産業革命、時代背景を重ねて見える立体構造が、オモシロイ!!
『アリス』は「時間」をテーマに「冒険」するんだけどね、その中で紹介されていた社会学者の見田宗介さんの文章が印象に残ってる。
私たちは時間を「使う」とか「費やす」とか「無駄にする」とか、お金と同じ動詞で考える。これは近代のTime is moneyの精神。
産業革命を境目に、働き方(労働)が変わり、時間との付き合い方が変わり、生き方が変わった。
それまでは、出来高(造ったものの量と質と納期)で評価されていた労働が、時間で量られるようになったからね。時間に支払われる対価+時間の規則⇨時間は守ることが大切!この価値観がどんどん浸透していった。
さらに鉄道で時間の短縮が可能になり、時間の「ムダを省く」感覚も。今もタイパ、タイパって言うもんね。時間はカネだ。資本主義は時間をも経済価値として呑み込んだ。
見田宗介せんせは、南米旅行を通して感じた時間間隔のギャップに触れてこう書いている。
彼らにとって時間は基本的に「生きる」ものです。
もともとは、私たちもそうだった。
だって、いつでも心に心地の良い残像を残すのは、有効に「使われた」時間じゃなくて、ただ「生きられた」時間なんだもの。
時間との付き合い方ってのは、そのまんま人生の生き方。「時間」って私すごく関心のあるテーマ。
普段、せかせかしてるからね(笑)
毎朝、そして毎晩、息子をせっつきまわす、せっかちなかーちゃんなのよ。。。
効率よく(思い通りに)息子の行動をコントロールしたい!とか、必要最低限のことだけにエネルギー使いたい!とか、そういう考えで時間を「消費する」んじゃなくて、時間を「生きたい」なって。そう思うのです。
見田宗介せんせのいう、「上滑りしていない時間=上滑りしていない人生」を生きたい。
言葉の感度、精密さに磨きをかけるのもまた「訓練」!
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