ことばのおもしろさ研究所

語学好きな母ちゃんが、子どもの言葉の成長と外国語学習の奥深さ、心に響いた本なんかを記録しているブログ。

学びや成長のための「上手な叱り方」なんて存在しない

私たちは「叱りたい」というニーズを満たすために「叱る」行為を正当化する。

例え「叱る」ことに教育的効果が全くなく、むしろ弊害の方がうんと大きいと分かったとしても、社会的に「叱る依存」にあるせいでここから抜け出すのはなかなか難しいのかもしれない。

 

 

  • 「怒る」も「叱る」も「体罰」もどれもやってることは同じ
  • 苦痛(罰やネガティブな感情体験)が人を成長させるのは大きな勘違い

 

これを聞いて反感を覚えた人、「甘やかすと人はダメになる」「教育やしつけのためには厳しさも必要」と思った人、ぜひこの本を読んで「あーーー!!そういうことね!!」と納得快感を味わってほしい。

 

人によっては自分の見ていた世界(それが当然だと信じていた観念)がひっくり返ってビックリするかもしれない。ビックリできる読書って、さいこうにオモシロイ。

 

この本ではもう、ハッキリ言い切る。

みんな「叱る」教育効果を過信してるけどね、そうでもないよ。

思ってるほど意味がないどころか、むしろ逆効果だよ。

 

ちなみに倫理観、道徳観とか、ふわっと「正論ぽい優しいこと」言ってる教育論じゃないです。脳の機能・構造から見た「叱られる人(叱る人)の内側では何が起こっているのか」を知ることで、納得できる根拠があります。

 

子育てや教育、会社の上司部下の関係性、ハラスメントや炎上さわぎ、あれもこれも「この仕組みが働いていたのか」と、社会の構造までも透けて見えちゃうとんでもない《地動説》本。

 

まさに「動いているのは地球だった・・・」って衝撃。

 

地動説同様に、「経験的な感覚」と「実際に起こっていること」のギャップがあるから、きっとこの考え方(真実)はすんなり受け入れられないかもしれない。

 

例えば「厳しい罰則は犯罪の抑止効果が低いどころか、再犯率を上げる」ことが明らかになっている。それが分かっていても、私たちは「厳罰に効果がある」と信じている。もはや信仰に近い。

 

ちょっと昔に、成功者に共通する特性は「グリット(やりぬく力・粘り強さ)」だと研究結果が出て、ガマン強さが見直されることになった。でも、ここで求められるガマン強さは、理不尽な状況を強いられることでは決して培うことができない

 

そして「叱る」ことに潜む大きな罠、依存性。

依存症というと「自制心のない人、自堕落な人、意志薄弱な人がなるもの」ってイメージがあるかもしれないけど、最近は「誰だって、条件さえそろえばなりうる身近なもの」だと見直されてきた。

「叱る依存」がやっかいなのは、全くもって無自覚でなってるかもしれないってこと。それから社会全体が依存状態だから気付きにくい&抜け出しにくいのかもしれないってこと。

 

叱る依存?まぁ、私も親だから叱るときは叱るけど・・・

ヒステリックな人のことかな。確かに、そういう人もいるんだな。最近多いのかな。教育ネタは好きだし、脳科学とかシステムのはなしも面白そうだから読んでみよう~。

 

なんて第三者目線で読み始めた私も・・・社会全体が「信仰」している、間違った思い込みを持っているのかもしれない、と気付いてギョッとした。

 

 

知らず知らずのうちにはまっている「システム」の罠、思い込み、価値観って点では、最近読んだこの本ともリンクする。

 

 

差別にせよ、依存にせよ、ほとんどの場合本人に問題意識がない(無自覚・無意識)ってのが、大きな問題なんだよね。

 

だからね、「どうしても叱っちゃう、叱りたくないのに」って問題意識を持っている人も、「さすがに、叱らないってのは違うんじゃない?」と違和感を感じる人も、「ふーん、そんな問題があるのね」って他人事の人も、読んでみたら発見があると思うの。

だって、社会全体の構造に関わる内容だから。

社会に関わってる時点で、実は他人事じゃない。

 

 

大きな価値観の変化、パラダイムシフトが起こるのかもしれない。

だから、たぶん内容を読まずにタイトルやあらすじだけで勝手に想像膨らませて「けしからん!!」と批判してくる人、出てくると思う。それだけ私たちにしみついた「信仰」に切り込むハナシだから。

 

「それでも地球は動いている」

私はそう言える人間になりたい。その先に、進むべき「善き未来」があると思うから。

 

note.com

 

失敗とか勘違いは気付いても、認めるのがムズカシイ(恥ずかしい)。ワレワレには苦痛を無意識に回避する機能が備わってますからね、気付いても気付いてないと信じ込もうとするかもしれない。あれやこれや例を挙げて。

 

いや~~~・・・

私も、「叱る依存」にかなり近いのかもしれない。

 

この本は、ただ叱ることはイケません、と「叱る人を叱る本」じゃない。そこがステキなの。問題点と陥りやすい罠だけじゃなく、そのトラップを避ける具体的な注意点と、具体的な脱出ステップも書いてある。

もちろん、「じゃあ効果的なしつけや教育、学びや成長に必要なこととは何なのか?何をすべきで、何をすべきじゃないのか」もちゃんと書いてあります。

 

親子とか上司部下に限らず、人間同士のコミュニケーションで「イラッ」としたり「モヤッ」としたり「違和感(何か物申したい)」気持ちになったことがある人(誰だってあるでしょ)、みーんな、気付きが有る内容だと思うのです。