岸本佐知子さんのエッセイ『わからない』を読んでいて紹介されていた短編集。ちょっぴり不気味で、なんとなく心がきゅっとしてしまう、真っ直ぐな(いや、歪んでいるっていうのか?)主人公たち。
正常なわたしたちからすれば、「狂人」であったり「愚鈍」だとみなされるような人たち。まだこの世界にうまく馴染めない子どもたち。
ベロニカだな!
「(中略)狂気とはね、自分の考えを伝える力がないことよ。
まるで外国にいて、周りで起こっていることは全て見えるし、理解もできるのに、みんなが話してる言葉が分からないから、知りたいことを説明することもできず、助けを乞うこともできないようなものなのよ」
「わたしたちはみんなそう感じてるわ」
「だからわたしたちはみんな、なんらかのかたちで、狂ってるのよ」
各章を読み終えてから、章の扉絵を見直すのもおもしろい。
そして章末に書かれている、創作のネタになったと思われるキーワードも、おもしろい・・・!!!!そのままあの登場人物のモデルになったんだろう、と想像できるものから、ここからこんなふうに物語が生まれちゃう?!ってオドロキも。
特に印象的だったのは、「母乳ババロア」(衝撃)と、13人兄弟の末っ子「サー叔父さん」。サーおじさんは、切なかった。「蜘蛛の巣は、宇宙からの手紙なんだよ」。
母乳ババロアは、キモかった(笑)
あと、現役母乳ババロアとしてひとこと申すなら、「母乳が直線でぴゅーっと出るのは、幻想です」。
あれは四方八方に飛ぶ。
しかも、妊娠以降ズズ黒さを増し巨大化する乳輪は、カラスもびっくり。そんな美しいもんじゃない。謎のぼつぼつ?もできるし。