今週読んだ本。久々のハードカバーで小説!
ドラマになりそう・・・?
登場人物のキャラ像、京都の町並みの描写、医療現場のやりとり、読みながら医療ドラマを見てる気分。
最近「スピノザ」が気になってたからこのタイトルが目についたんだろうね!図書館ぶらぶらして手を伸ばした先に触れた本。
(こういうぶらぶらの出会いがあるのが、フィジカルな本を巡るおもしろさ!!)
さてこのお話の主人公は京都の小さな病院に勤務する消化器内科のお医者さん。もともとは医療技術の最先端、大学病院に所属していた天才ドクターなんだけど、それを辞めて町医者に。
大学病院で受け持つ難病や高度な医療の難しさと、高齢者や末期患者に向き合う難しさのコントラスト。
医療に携わるもの、命に向き合うジレンマ、そして哲学。「治す」ことが幸せなんだとしたら、治せない病気の人や老いは不幸なのか?
どう受け止めて、どう手を差し伸べればいいのか、そこには正解がない。
スピノザの「この世界は意志でどうこうできるもんじゃない」っていう、まるで諦めのようなものすごくクールな視点。それでいて、冷たさではなく温かさというか、人間に対する信頼みたいなものが根底にある思想。
主人公からふと感じる、「どうしようもなく理不尽なこともある。それでもそこに幸せは見いだせるはず」って信念。
技術や能力でコントロールできる範囲が広がっていくように思えるけど、やっぱり人間世界はコントロール不可の領域の上にあるわけで。
でもだからこそ、努力することに価値があるんだ、ってのがスピノザ的姿勢。
人の出会いもまたそうであろう。意志の力で、より良い人と巡り合えるというものではない。願えば叶うというのなら、これほどわかりやすい世界もないのである。
願ってもどうにもならないことが、世界には溢れている。意志や祈りや願いでは、世界は変えられない。
そのことは、絶望なのではなく、希望なのである。
物語でちょろっと紹介されるスピノザのハナシ。
代表作『エチカ』は哲学書なだけに、なかなか手ごわい内容のようで。その難解な本に興味を持ちつつも、無理かな?とためらう甥っ子に、主人公がこう言う。
いや、いいんじゃないかな。訳がわからないということがわかるだけでも大切だ。読んで『わかった』と思う読書の方が、はるかに危険だからね
ここ読んで、この人の読書観、好きだな!!と思った。・・・ら、やっぱり本を読むのが好きな人なんだね!(本を書く人だから、そりゃそうか?)
↓こんな本にまつわる物語もあるらしい。
他の著作を見ると、『神様のカルテ』とか聞き覚えのある有名な小説も。(聞いたことあるけど、読んだことないや!)
それで名前に聞き覚えがあったか〜、とスクロールしていくと・・・
あら!!!『始まりの木』の人でしたか!!
医学じゃなくて民俗学が舞台のこの本、人類学とか民俗学LOVERSには楽しい物語。
読んだのは、3年前だったか!
わたしはここから始めようかな・・・