息子イチ君(4歳)観察日記。
今朝、主人が家を出るとき「Oh, please don't go!」と呟いてて笑ってしまった。これ、モーリスセンダックの人気絵本、『かいじゅうたちのいるところ』の一節。コワカワイイかいじゅうたちが主人公マックスを「お願いだから、行かないで!食べちゃいたいくらい、好きなんだ」と追いかけてくるドキドキのシーンのワンフレーズ。
子どもの世界観を捉え、緻密な仕掛けが練り込まれた名作をたくさん作り出してきたセンダック。ちょっとした絵の変化のなかに、子どもの世界観の変化が表現されているのに気づいたときは鳥肌もんだった!!
今月に入ってから実験的に、ラボ言語教育センターが出版している、日本語×英語(英語音声の後に日本語版文章の読み上げ)の物語CDを聴いてるんだけど、これが想像以上にイチ君と私に影響力があり……
正直、某聞き流し教材みたいな2言語形式の音声素材にはケッコー否定的な考えを持ってたワタシですが。英語モードに頭を持ってっちゃったほうが(イマージョンってやつ)密度が濃くなって効率がいいし、楽だから。
でもこの日英連続方式の音声素材、意外にイイカモ、と思ってる今日この頃です。ただ、なんでもイイってわけでもなく、我が家の場合、目的(求めるモノ)と素材が見事にフィットしたって感じで物語CDの「効果」を実感しているのであります。
絵本の文章を、ただ英語⇔日本語と繰り返されるだけのCDはダメみたい。図書館で他のCDつき絵本も借りてきて読んだり聞いたりしてるんだけど、こちら反応があまりよろしくなく。
私は基本的にBGMのように音をたれ流しするのは嫌いな性格(見てないテレビつけっぱなしとかされると、すごく疲れる)なのです。確かにつけっぱなしにして常に耳に入ってくる(無意識のうちに)ようにすれば、耳には残るんです。残るんですが、それは別に嬉しくない。興味のない内容をひたすら流し込んで「覚えた!」「口から出た!」となっても、私は、別に嬉しくない。
でも、縁あっていくつかの物語CDが手元にやってきたのでひととおり聞いてたんです。するとどうでしょう(笑)語り手がいいのか、音楽や効果音がいいのか、大人が聴くに堪える、つまりいわゆる「子供向け」の「教材」ではなく、「作品」として楽しめるCDってもんに出会っちまったってたわけです。
いくつか聞いてみたんだけど、落語家さんの語りとかやっぱりオモシロイね!!!たしかに、コトバで人を楽しませるプロなわけだ。他のナレーターさんも味があって、面白いな~と思いながら時々つけて聞いてたんです。教材として吹き込まれていない分、「ハッキリとわかりやすい英語」じゃないんだけど。。
で、私が面白がって聞いてたら、息子が絵本のフレーズを真似をして遊ぶようになった。これを機に、しばらく遠ざかってた絵本タイムが復活!!!
お膝にかかえて絵本をひらいて、CDの音楽に合わせながら一緒に聴いたり、私はついでにシャドーイングもしながら二人で楽しむようになりました。そのうち自分から「がらがらどん、つけて!」とか「絵本読もう!」って言ってくれるようになり・・・
自分で物語の真似をしてそらんじてみたり、音に合わせて踊ったり。
幼稚園から帰ってきてオヤツの時間には「今日はどのおなはし、きく?」 なんて習慣になってました。共通の好きなものができると、嬉しい。そう、効果を期待した「教育」だったら私、けっこうおせっかいなことしてしまってたかも。そうじゃないから、たぶんイチ君も楽しんで聞いてくれてるんだと思う。
これ、私は大好きなんだけど、イチ君は、まぁ、普通な反応(笑)
大きなかぶ。ひっぱるところを真似したり、かぶになりきって「抜いてくれー!」と言いながらソファの隙間に挟まるのが大好き。いつもかぶの役(笑)
これ、最初にCDをつけてお膝で絵本を読んだとき、なんと最後のページで大号泣。寝る前だったから、そのままお布団でもずっとヒックヒック言ってて・・・その日はヨシヨシと寝かしつけて、次の日なんで泣いちゃったのか聞くと「・・・嬉しかったの」と。ちょっと不安な、さみしい気持ちになる展開だったから、食い入るように入り込んで、最後にブアッとほっとして涙が止まらなくなったらしい。
イチ君の、子どもの感性に衝撃を受けた。
あまりに泣き方が激しかったから、お蔵入りのトラウマ絵本かな?と思ってたら一週間くらいして「ねぇ、ロバのシルベスタきく」といって。CDプレイヤーの前にへばりついてじっと最後まで聞いてた。結構長いんだけど、じっと最後まで。で、また泣いた。
絵本をまた一緒に読めるようになって。
オマケ的に英語に触れる時間もまたできるようになって。
なんだか息子との関係も良くなった、気がする。
これね、同じ内容でも英語だけのCDだったらここまで聞き入ってくれなかったはず。内容が分かるからおもしろい。自分なりに日本語の意味を捉えて飲み込んで、そのイメージのひとつひとつに英語がくっついてくる、そんな感じ。
気が付いたら、英語だけの部分(CDは日英併読verと英語のみverが入ってる)を流していても、場面がちゃんと脳内再生されているようだった。冒頭で書いた、Oh, please don't go!もそう。
その言葉が使われている場面があって、それを発言している登場人物の心情に対する想像があって、それを自分が出会った生活の場面に、自分の言葉として借りてきて使ってみる。これって、言語習得の自然なプロセスそのもの!!!
だから、「字面そのもののコトバ」だけじゃなく、「コトバの裏側」まで世界観がちゃんとある、物語がいいんだと思う。
教材は、どうしても余白が少ない。解釈の余地が多いコトバは「教材」に向かないから。
と、いうわけで日英併読の物語CDにハマってます、っておはなしでした。
私はですね、イチ君が英語が出来るようになるとかならないとか、そういうのはそんなに重視していなくって。でも、コトバのおもしろさとコトバの持つ力の大きさが伝われば嬉しいな、と。そのきっかけのひとつとして、英語に触れています。
親の理想としては
★言語化されていない文脈、背景、感情の動きに「気付く」敏感さ
★それを自分なりのコトバで表現する言語能力
★全く違う価値観、常識を持つ相手であっても、調停点を探り出せる(その場その場で適切な関係性を立ち上げる)コミュニケーション能力
が育ってくれればいいなぁ、と強く願いますが。
これって「ひとつの決まった正解がない世界で、自ら問いをたて、自分なりの考えを組み立て、自分の言葉で表現する」能力のことなんだと思います。これは私自身まだまだ鍛えなければならん能力で。(伸びしろ、しかないレベル)子どもたちがそのチカラを育める環境や大人の在り方って、どんななんだろう、と模索しているところです。
この本を読んで、特に前半、言語学習の在り方について考えさせられました。
後半の実践例は、正直「え~~~」と思う人も多いんじゃないかな。ルー大柴みたいな英語を喋る子どもがイヤな人は、特に抵抗あるかと(笑)でも「何を目的にしているのか」というポイントを忘れなければ、そうかこういうやり方も大いにアリだな!!と思って読めます。私は過去一度この本を読んだことがあって、えーーーーと思った一人です。読み直すと、結構いいこと書いてあるじゃん、と。心に余裕が出たのかな(笑)
さて、今日はこれを読もう!