「儒教」が成立する前の、孔子のメッセージを「文字」からひも解こうというココロミ。礼を重んじるだとか、儀式をキチンと執り行えだとか、カタチにこだわるイメージだった孔子の印象が、読み終わりには変わってました。
見えない領域の、「サムシング・グレイト」にも通じる不思議なパワー、その強さと影響力を知るからこそ、大切にするからこその、カタチ。
「仁」という字の「ヒューマン2.0」という解釈、面白かった。個人の一生レベルではなく、人類史レベルでの行動ができる人間・・・この先の世代はもうそうなってるのかも!
コトバに関しても、文字との関わりから見た展開が面白かった。
元々は、音でできた合図。それに記号(文字)を当てて微分したり、文字から意味を解釈して積分したりする。文字ができると音がとどめられるようになった。そして時間の概念が生まれた。
今は当たり前すぎてイメージできないけど、人類にとってそれってすごいチェンジだった。音をとどめておける。「今」しかなかった時間を外から観察できるようになった。これを本書で「時間の外在化」と書いていたけど、なるほどなるほど。
過去を記録として残し、そこから学ぼうとする意志。(そして後悔)
そして未来を変える力。(そして不安)
そんなすごいことをもたらした「文字」は呪術そのもの、音のパワーの結晶だったわけだ。ただし、記号化して手元に残すために、3Dから2Dに次元を落としてコトバを取捨選択する必要があった。
「天孫降臨以前は岩も木も風も鳥もはなしていた」という文章はどこからだっけか?古事記、日本書紀だったか、風土記だったか・・・。自然の音を意味あるコトバとして拾っていた、ある時期以前の人間ってのは、文字を持たなかった人たちなんじゃないだろーか。
取捨選択された「意味」と「音」の組み合わせが、「コトバ」として残った。対象の次元を落とすことで、自分の次元を上げる(ひとつ外側の世界から見る視点を得る)ことに成功したワレワレ人間。
さてさて「天孫降臨」と言えば日本神話、そして古代史。
アマテラスやらスサノオやら、神様が登場する不思議な物語の一節ですな。
神様と人間の関係についてはこんなことも書いてたっけ。
これも、おもしろいよ。神話をファンタジーと切り捨てずに、考古学的な検証をしちゃう。メスをいれる対象は、「コトバ」なのだ。
どんなコトバ(モノの名前や地名、登場人物の名前、描写方法)を使うか?じっくり眺めると発見が色々あって面白い。何が真実か?を気にしだすと何がニセモノか?という視点になって見える範囲が狭まることもあるけど、それを描いた人々が何を真実にしようとしていたのか?という目で見るのが面白い。
古代に真実を求めて――倭国古伝―姫と英雄(ヒーロー)と神々の古代史 (古田史学論集第二十二集)
- 作者: 古田史学の会
- 出版社/メーカー: 明石書店
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歴史は勝者の視点。敗者の物語は神話や伝承に細々と残る。
気楽に読むならこんな本もあるよ。字が大きくって、章が2ページ前後の短編集みたいな文庫本。いろんな地方にお出かけしたくなるね。
ここでも神話に出てくる神様を、実際に生きていた人間をモデルにして作られたイメージ像としてその正体を探る、みたいなハナシも多く載ってます。
今読みはじめたのはコレ
日本昔ばなし!さて、誰が登場人物のモデルとして考察されてるんでしょーか?!