新生児と言葉〜人が言葉を覚えるということ〜
新しいカテゴリ【観察日記(育児)】を追加しました!息子の日々の成長を「ことば」を中心に記録していこうと思います。
声
声帯を使った発声はまだ出来ないけど、キュルキュル喉をならしたりクーンって鳴いたり(?)する。小動物みたいで可愛い。お気に入りは、ゲップさせようと体を起こした時の「くふぅ〜」って声。赤ちゃんって「あー」とか「うー」とか言ってるイメージだけど、声帯を使って声を出せるのはもうちょい先みたい。
お腹に力を入れてよだれやら泡やらミルクやらをぷくぷく出してくるんだけど、時々何かの拍子にウーって声が出ることもある。ここ2,3日で、ジタバタしながら不満そうにうなる(ふぬー、うぅー、あぅー)ことも増えた。
一方で泣き出すと凄まじい声量で大人を苦笑いさせる息子。おっぱいがうまく飲めなくて機嫌が悪くなると、チアノーゼになるんじゃないかってくらい怒り狂って泣く。まさに赤鬼。結構小粒サイズで生まれてきたんだけど、新生児でも室授乳室でも誰よりデカイ声で泣き叫んでたな。どうやら我が強い、主張が激しい性格みたいだ。親戚一同、母親(私)似で大変だ手を焼くぞ、と恐れおののいてます。
耳
聞いているかどうかってのは外から観察はしにくいんだけど、話しかけている人の顔をじーっと見つめてるから聞いてるんだろうね。音を意味のある塊(言葉)として認識するまで、たっぷりたっぷり耳と頭で情報収集しなさい。
大人が外国語を覚えるときは意味のデータベースが母国語で既に作られているけど、赤ちゃんは空っぽの状態からスタートする。
この「意味」と「言葉」の結びつきってテーマは言語学だけのものじゃなくて、哲学というジャンルでも昔から取り上げられている。
哲学って言うと気取って聞こえるかもしれないけど、実はすごく身近で実践的で、おもしろい!上の本はそう気づかせてくれる一冊。人が言葉を学ぶ仕組みについて、哲学という切り口でどんな風に捉えられてるのか、興味ある人はぜひ読んでみてください。
コトバの仕組みを考える本
言葉が喋れなくなる、分からなくなる、コントロールできなくなる、といった症状から言葉がどのように生産され発語されるのか考える。
脳の損傷部分と症状から、特定の部位がある言語活動と関連がある、というところまでは分かるんだけど、言葉が何者なのかってのは未だ仮説の域を出ない。「言葉は心の動きの現れ」というアイデアが目からウロコだった。

言葉をおぼえるしくみ: 母語から外国語まで (ちくま学芸文庫)
- 作者: 今井むつみ,針生悦子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/01/08
- メディア: 文庫
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実験を通して人(子ども)がどんなふうに言葉を認識してるのか、覚えるのか解き明かそう、ってのがこの本の大筋。字がちっちゃくでボリュームがあるから途中ちょっと読むのに疲れた(笑)日本語話者、英語話者、中国語話者の言葉の感覚の違いなんかも実験してて面白かった。

さえずり言語起源論――新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 岡ノ谷一夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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上の三冊は同じ著者だか被ってる内容も多い。でも全部好き。言葉(母語)は「単語=意味」でボキャブラリーを増やしていくもんなんじゃなくて大きな塊で捉えてパズルを組み替えるように覚えていくんじゃないか、って仮説から展開する言葉の起源。
心
まだ生まれて数週間の息子には、言葉という概念がない。目に見えるもの、触れるもの、感じることすべてが言葉を介さずに心に届いている。大人の私たちは言葉で世界を認識して、言葉で思考しているわけだから、この言葉のない世界を想像することは難しい。
語彙が増えれば増えるほど、思考できる範囲が広がる。見える世界が大きくなる。不自由なく言葉を操れるようになる頃には、言葉という制限の中でしか生きられなくなる。私は子どもの、この生のままの世界に浸れる僅かな期間を大切にしたい。
↑これ、はてブを始める前に書いてたブログ。今は更新してない。 似たような内容で書いたことあったなァと思って掘り出してみた。